水道水について

大量生産、大量消費で便利な社会をつくってきた陰で、生活排水や産業廃水、処分しきれなくなったゴミの山など、あふれかえったさまざまな有害物質が「日本の水は安全」という神話を崩しつつあります。私たち生命体は水とともに生き、水によって生かされています。

世界規模でこのわずか一世紀(100年)の間で大気、土壌を汚染し、その最終到着点の海を汚染し続けています。私たちに必要不可欠な「水」にも有害物質が戻り始めています。大気汚染や土壌汚染も最終的には「水」にかえってくるのです。

日本の水道水質基準は1957年に26項目の設定がされましたが、環境の悪化に伴い、そのままでは飲料水としての安全性が確保できないことから、35年ぶりの1992年12月に46項目に改定され、さらに2004年4月に50項目へと改訂され、現在に至っています。

一方、アメリカの水質基準は1994年11月時点で合計263項目(農薬類81項目・発ガン性物質53項目・放射性物質53項目)で鉛や銅、細菌類については毎月任意に180世帯の家庭が選ばれ、家庭の蛇口から出る水道水を水道局が測定しています。

しかし、水質がますます悪化している現状から、さらに約100項目の物質についての基準追加が検討されています。(基準追加されると、合計363項目となります。)それだけ監視基準を追加しても、まだ未確認の化学物質が約500種類以上発見されています。

また、基準制定についても、アメリカでは人体に対して少しでも有害と判明したものは、たとえ1項目でも即刻、基準に盛り込まれます。日本とアメリカの水質基準を比較してみると、飲料水中の農薬として指定されているものは、日本では4項目、アメリカでは82項目で、発ガン性物質として指定されているものは、日本では7項目、アメリカでは53項目と極めてその差はひらいています。
さらに、アスベストや放射性物質については日本では基準がないほどです。こうしてみると、日本の「水」に対する意識のうすさを感じざるを得ません。

テレビやマスコミなどから消費者も硝酸性窒素やスリプトスポリジウムなど、浄化場や一般の浄水器では除去できない有害物質の存在を知り始めています。

また、これら有害物質が人体に与える影響(食中毒・感染症・アトピー性皮膚炎・発ガン性など)の情報も得、水に対する不安が高まりつつあります。

水道水に含まれる有害物質

水道水中の窒素分や有機物による富栄養化にともない塩素消毒で発生する発がん物質のトリハロメタン等の有機塩素化合物が年々増加傾向にあり、そのリスクは水不足の夏に急上昇しています。さらに、水道水中の硝酸性窒素が年々上昇傾向にあります。

亜硝酸性窒素・
硝酸性窒素

アスベスト(石綿)

溶解性鉛

トリハロメタン

ホルムアルデヒド

農薬

放射性物質

クリプトスポリジウム

緑膿菌

ダイオキシン

ヒ素

アルミニウム

水銀

カドミウム

環境 ホルモン

トリクロロエチレン

テトラクロロエチレン

病原性細菌・原虫

● 亜硝酸性窒素・硝酸性窒素

硝酸性窒素や亜硝酸性窒素はフミン質や動植物の腐敗物質、し尿、畜産排水、化学肥料などの窒素分が腐敗によって分解し、水が汚染されることにより検出されます。硝酸性窒素は浄水場では取り除けない化学物質の一つですが、硝酸・亜硝酸性窒素の濃度が高くなるほど、有機物濃度も高くなり細菌が繁殖しやすい水になると言えます。

硝酸性窒素は、酸素の少ない状態(人体や土の中など)では容易に亜硝酸性窒素に変化します。特に高濃度の硝酸性窒素を含む水は乳幼児の健康に重大な影響をおよぼします。

乳幼児突然死の原因と考えられている酸欠や窒息状態(チアノーゼ)を引き起こすメトヘモグロビン血症は、乳幼児が胃の中で硝酸を亜硝酸性窒素に還元してしまい、血液中のヘモグロビンが酸素よりも先に亜硝酸性窒素と結合することから、ヘモグロビン(赤血球)が酸素を運ばなくなるため発生します。さらに、硝酸・亜硝酸性窒素は体内で食物中のタンパク質に含まれるアミン類と結合し、強力な発ガン物質であるニトロソアミンを作り出すのです。

影響:体内で発ガン性物質に変化、赤ちゃんにブルーベビー病

● アスベスト(石綿)

水道管に混合されて使われていたもので、現在でも日本全国の配管の6%に使われています。水道統計によると東京で12%、千葉県のある市では、なんと52%の割合で存在しているといわれています。腎皮質や膵臓、肝臓、腸間時などに蓄積され消化器系(食道・胃・腸)ガンや肺ガン、腹膜ガンなどが発生することが知られています。

影響:胃ガンや肺ガン等の原因になります。

● 溶解性鉛

水道用鉛管を使用している地域や家庭において、水道水中へ溶け込んでいます。
溶解性の鉛イオンは神経毒性、腎毒性、タンパク親和性が非常に強く、消化管から吸収された鉛の約85%は赤血球に沈着し、やがて骨に沈着します。

血液中の鉛濃度が0.5~0.8ppmレベルで、疲労感・不眠・神経過敏・頭痛や消化管障害がみられ、 特に、小児の場合は明らかに脳の成長を阻害する恐れがあることが世界的にも知られています。

鉛の毒性は蓄積性があり一度体内に摂取すると外に代謝することが非常に困難な物質です。摂取された体内に蓄積された鉛濃度が半分の濃度になるまでに20年以上かかることが報告されています。

影響:神経障害、消化管障害、貧血、酵素の阻害、免疫機能抑制、腎臓・肝臓障害など。

● トリハロメタン

水道の原水に含まれる有機物と、浄水場で消毒に用いられる塩素が反応して生じる消毒副生成物です。発ガン性、腎毒性、腎臓腺腫、肝毒性、肝細胞ガンなどを誘発することが明らかになっています。

影響:発ガン等の原因となります。

● ホルムアルデヒド

塩素処理の際に遊離塩素とフミン質が反応してできる消毒副生成物です。合成樹脂や染料製造工場の廃水・排ガス、土木工事用薬剤等が水道、水源に入ることもあります。発ガン性、変異原性、催奇形性、神経毒性などがあり、非常に高い発ガン性を有している化学物質です。

影響:呼吸困難、めまい、嘔吐、胃けいれん、口腔及び胃に炎症

● 農薬

農薬、除草剤、殺虫剤などを総弥。
日本では欧米の6倍以上の大量の農薬が使われています。。有機リン系の農薬は神経毒性の強い物質で、手足のしびれや神経麻痺を多発させる物質です。ダイオキシン系のものは体内に一度取り込まれると排出されることがなく、唯一排出されるのが、母乳という皮肉な結果であり、子孫への影響が懸念されます。

影響:発ガン等の原因となります。

● 放射性物質

ウラン、コバルト、ラジウム、ラドンなど。核実験等により大気中に放出されたものが雨等とともに水道水源に入るものや放射性物質を取り扱う施設や自然鉱脈などから流入します。一度細胞に取り込まれた放射性物質は、体外に排出されず体内から絶えず放射線を発し人体内の細胞を破壊していきます。

影響:発ガン性があり白内障や白血病等の原因にもなります。

● クリプトスポリジウム

直径4?5ミクロンしかない目には見えないほどの原虫で、水や食べ物の中では、殻に覆われたオーシストの形で存在し、体内に入ると小腸の中でオーシストの中にいたクリプトスポリジウム原虫(スポロゾイド)が飛び出し、粘膜上皮細胞に浸入します。そこで増殖を繰り返し数を増やし、再びオーシストを形成し、これが便と共に体外に出て、新たな感染源となります。免疫力が低下している老人や乳幼児では、死に至ることもあります。塩素消毒に対して大腸菌の約69万倍の強さ。

影響:体に水分を補給する腸管の中にある水分吸収管の中に入り込むため、生体防御反応から腹痛を伴う激しい下痢症状

● 緑膿菌

広く自然界に存在します。土壌や水中、人や動物の腸管など、自然界に広く生息し、黄色ブドウ球菌やレジオネラ菌と並ぶ身近な常在菌のひとつです。
健康な人体では問題はないのですが、抵抗力の衰えた人が感染すると、敗血症や肺炎などを引き起こします。

また、最近になりアトピー性皮膚炎患者の症状悪化を増幅していることも明らかになっています。これは、皮膚をもろくさせる酵素「セラミダーゼ」を緑膿菌が分泌していることが原因と言われています。 セラミダーゼは、皮膚の一番外側にある脂質セラミドを分解させ、アトピー性皮膚炎患者の皮膚防御機能を破壊し、症状悪化を増幅させます。

影響:アトピー性皮膚炎の症状悪化を増幅

● ダイオキシン

農薬や廃棄物の焼却施設から水道原水に流入したり、農薬やパルプ工場、化学工場などの排水が浄水場で消毒に用いる塩素と反応して生成します。

影響:発ガン性や環境ホルモン物質として作用し、微量でも生命体に悪影響を与える恐ろしい化学物質です。

● ヒ素

金属の鉱脈からでる自然ヒ素が水道水を汚染したり、防腐剤、防アリ剤、農薬などが水道水源に流入しています。

影響:発ガン・消化器系、肝臓、皮膚粘膜の障害・貧血等の原因となります。

● アルミニウム

土壌中に大量に存在している金属であり、水道水として使用する原水の浄化の過程で凝集剤(硫酸バンド:硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウム)として使用されている物質です。最近は酸性雨の影響で、土壌中で安定であったアルミニウムが水道水の原水中へ溶け出し、その濃度も近年増加しつつあります。

影響:痴呆症やアルツハイマー病など神経性疾患との関連が指摘されています。

● 水銀

日本で起きた水俣病や阿賀野川流域でおきた工場排水による有機水銀中毒の原因物質。水銀は工場廃水、沢山の産業廃棄物、水銀系農薬使用増大殺菌、殺虫剤などから絶えず水銀蒸気となって空気中に放出されています。

影響;酵素の活性を阻害(→肥満)、アトピー性皮膚炎、腎臓・肝臓障害、歯肉の炎症、視力低下など。

● カドミウム

カドミウムの汚染による腎臓障害に骨軟化が合併した病気「イタイイタイ病」などが知られています。化石燃料の燃焼や金属精錬所・一般廃棄物焼却炉、最終処分場から飛散、流出から生じます。

影響:酵素・栄養素の働きを阻害、腎臓・肝臓障害、骨の異常、水様鼻汁、嘔吐、腹痛、むくみなど。

● 環境 ホルモン

環境ホルモンとは環境に放出された化学物質が体内に入りホルモンと似た働きをしたり、その働きをじゃましたりするものです。

影響:約70物質に内分泌攪乱作用が疑われる化学物質があり、非常に微量でも作用し蓄積するものがあります。また母親から子供、次世代にわたって影響したり、子供が大人になってから発現するなど影響は、はかりしれません。

● トリクロロエチレン

● テトラクロロエチレン

有機塩素系溶剤のひとつ。不燃性で有毒。ドライ・クリーニングや半導体工場での洗浄に用いられます。水道水源の汚染が懸念され、水質汚濁防止法により規制されています。

影響:肝機能障害、黄疸、嘔吐、頭痛、一時的意識不明

● 病原性細菌・原虫

病原性大腸菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、カンピロバクター菌、緑膿菌、クリプト原虫、ウイルスなど。

影響:食中毒や激しい下痢、腹痛を起こし死にいたることもあります。病原性細菌・原虫